学会概要(下書き)
設立趣旨
80年代のはじめには欧米にキャッチアップした日本経済は、その後の経済社会システムの設計に失敗し、バブル経済を膨張させ、その崩壊後に長い停滞期を経験しました。長い冬眠から覚め、いざなぎ景気を越える戦後最長の拡大期を迎えましたが、私たちの家計は豊かさを実感している とは思えません。新興国の成長に引っ張られ、目的地を知らされないランナーが闇雲に走っているようです。そして、サブプラムローンの破 綻に端を発する100年に一度と云われる世界的な金融危機に見舞われ、同伴者がいなくなったランナーは、走る方向を手探りで探しているようです。
日本の進むべき方向は何処でしょう。日本経済は疲弊していますが、蓄積された有形・無形の資産は世界に誇れるものです。とりえわけ、高い教育水準と伝承された技術やノウハウなどが蓄積しており、その人的資産は、日本社会の競争優位の源泉です。
日本は世界経済のリーダーとして、不確実性に挑戦し、独創的な事業を構想することで、新しい社会のあり方を提案しなければなりません。その実現のために、社会経済の諸制度や教育システムを改善し、事業を構想する人材育成に努める必要があります。前者については、新規の事業を構想するための諸条件や障害となる諸要因を研究し、後者については、社会のコアコンピタンスである人材開発を研究し、人間の成長段階に応じた事業構想のための教育方法を開発する必要があります。
事業構想は新しい仕事の創造であり、社会の問題発見とその解決策を構築することです。その意義は社会を豊かにすることであり、社会のあり方を含めて様々なテーマが対象となります。たとえば、一見すると無関係と思われる自然環境の問題も、重要な研究対象です。自然は、事業創造の制約となる一方で、環境破壊を制御するためのさまざまな倫理的・法律的枠組みを構築しています。こうした倫理や法的な社会環境の形成が、新たな仕事を生み出します。環境ビジネスの分野です。人口問題も自然と社会の問題です。少子高齢化が社会に与える影響を分析し、何が必要な仕事なのかを考察すれば重要な研究テーマに発展します。その他にも、学校教育の問題や社会資本を形成する諸種の問題が新たな仕事の創造に関与します。いずれも、既に各分野において独自の研究を発展させておりますが、これを事業構想の問題として捉え直す研究がビジネスクリエーター研究です。
事業構想を研究対象にするには、実務家と研究者が相互に意見交換し、求められる社会のテーマを探索し、その解決策を学際的に研究することになります。謂わば、複合領域にある学会です。ビジネスクリエーター研究学会は、多様な学問領域に垣根を設けず、事業や仕事に関して総合的に研究し、社会に貢献しようとする学会です。
立教大学ビジネスクリエーター創出センターは、2008年3月末まで文部科学省のオープン・リサーチ・センター整備事業として「ビジネスクリエーター創出のための基盤整備と教育プログラム形成に関する研究-小学校から大学まで一貫性あるキャリア形成支援システムの構築をめざして-」という研究テーマを掲げ、様々な事業を展開してきました。同センターは、5年の研究期間を満了しましたが、新たなテーマを設定してビジネスクリエーター研究をさらに発展させる必要があります。
そのためのプラットフォームとして、ここにビジネスクリエーター研究学会を設置し、事業構想に関する諸研究を行う拠点とすることにいたします。本学会は、立教大学ビジネスクリエーター創出センターとその母体である大学院ビジネスデザイン研究科の研究・教育活動を契機に設立されます。しかし、この学会は、オープンな研究組織であり、国内外の様々な研究者に開放され、社会科学の発展と学問を通じた社会の 発展に貢献することを目的としています。
設立時の会員数は250名を超えました。近いうちに500名規模の学会にし、研究者の裾野を広げ、日本のみならず、諸外国、特にアジア諸国のビジネスクリエーターに関する研究の場を構築できると思います。
2008年11月
ビジネスクリエーター研究学会
初代会長(現顧問) 亀川雅人
会長挨拶
2017年4月から当学会の会長をさせていただくことになり、たいへん名誉なことと存じます。微力ながら「会員ファースト」で努力したいと思っております。どうぞよろしくお願い申し上げます。
アカデミックな学会が「会員ファースト」で何ができるかを考えてみると、やはり良い研究をしてそれを皆さまに発表する、そのことを通じて当学会のみならず社会にも貢献することであると思います。
私の場合は、経営学それも組織と戦略を軸にして、できるだけ社会的な視点を踏まえて学際的に分析するという研究をしてきました。それを当学会の皆さまといっしょに深めていく所存です。私の考え方については、たとえば『善き経営』(立教大学経営学部編、丸善雄松堂、2016年)に収めた私の論文には、組織論と日本企業論を書きました。また『経営のルネサンス:グローバリズムからポストグローバリズムへ』(鈴木秀一・細萱伸子・出見世信之・水村典弘編著、文眞堂、2017年)に収めた論文では、優れた技術と人材を有する日本企業がなぜグローバル化に躓いたのかを組織プロセスの視点から述べました。組織の硬直化、イノベーションと組織プロセス、官僚制組織のジレンマなどが私の研究分野です。
私見ですが、日本企業の組織体質、意思決定プロセス、戦略選択プロセスなどはイノベーションの観点からみると根本的なジレンマがあるように思えます。「善い経営」には、効率性(efficiency)と正当性(legitimacy)がコインの両面として不可欠のものです。ある価値観や意思決定プロセスがこれまでの日本企業・業界では効率的かつ正当的だったとしても、IT化やグローバル化という新しい環境下では効率的でないが、組織内・業界内では正当的だというジレンマを経験したのが「失われた20年」の日本企業だったと考えています。そして近年では、そのドメスティックな正当性すらも失われようとしている、それが「働き方改革」の提唱やコーポレート・ガバナンス(企業不祥事)の改革にあらわれているのではないでしょうか。
こうした効率性と正当性のジレンマを解決するにはどうしたらいいのか。アメリカをみると、ハーバード大学のクリステンセン教授はイノベーションのジレンマを研究した第一人者で、その解決法も提案しています。では日本企業もクリステンセン理論を踏襲すれば解決するのでしょうか。かつて国際経営学の大家バートレットとゴシャールは「組織伝統」ということを言いました。それぞれの企業や業界には経路依存的な伝統があります。また戦略論でいう組織ルーティンを考えると、それぞれの企業組織が日常の業務において積み重ねてきた、個人で言えば反射神経のような手続きや考え方はそれぞれの企業、国別に無意識のうちに存在します。その違いを考えると、おそらくはアメリカ企業と日本企業には異なるジレンマ解決策が必要なのでしょう。
イノベーションを進めるには、シリコンバレーをみればわかるように、企業のみならず研究機関(大学)の組織プロセスも重要です。どのように日本において、企業と大学ひいては日本社会が健全なイノベーションを実現するかについて研究することは、ビジネスをクリエートする当研究学会にとって重要な課題のひとつであろうと確信しております。そういう意味で、私はイノベーションをテーマにおきながら、学会を盛り上げていく所存です。皆さまのご指導ご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます。
2017年4月
ビジネスクリエーター研究学会
会長 鈴木 秀一
理事長就任の挨拶
このたび理事長に就任させていただきました、三井 福次郎と申します。就任にたいしましてごあいさつを述べさせていただきます。
ビジネスクリエーター研究学会の設立趣意書に次のことが記載されています。
「いずれも、既に各分野において独自の研究を発展させておりますが、これを事業構想の問題として捉え直す研究がビジネスクリエーター研究です。事業構想を研究対象にするには、実務家と研究者が相互に意見交換し、求められる社会のテーマを探索し、その解決策を学際的に研究することになります。謂わば、複合領域にある学会です。ビジネスクリエーター研究学会は、多様な学問領域に垣根を設けず、事業や仕事に関して総合的に研究し、社会に貢献しようとする学会です。」
事業を創造する、継続するには強靭な意志と哲学(現代はストーリーというようですが)がなければならない。事業を実施する実務家は目先のことを追いかけ、一喜一憂するという立場であるが、研究者は多方面の流れを研究しとらえる。
「過去を」「今を」「先々を」お互いに意見を交換しつつ会員が各々にできるものから顕現化していく学会であると感じ、応援できる範囲で応援していこうと理事長をやらせていただくことにいたしました。
産業界と知的機関である学校を結び付ける産学協同というシステムがありますが、これはいわばBとBの関係であります。この学会は研究者である人と実務者である人を中心とし、領域を設けず総合的に研究するものでございます。
多くの研究者、実務家の方々がご入会なされ、意見を交換しながら切磋琢磨し、各々の課題を克服して行くことを望む次第でございます。
2014年4月
ビジネスクリエーター研究学会
理事長 三井 福次郎
役員一覧
顧 問 | 亀川雅人 後藤克彦 | ||
会長 | 廣江彰 | 理事長 | 三井福次郎 |
副会長 | 高橋徳行 吉原敬典 | 副理事長 | 右田圭司 高山泰仁 |
理事 | 青淵正幸(常任) 粟屋仁美(常任) 石川 淳(常任) 奥村幸治(常任) 元治恵子(常任) 高岡美香(常任) 枡谷義男(常任) 山口一美(常任) 山中伸彦(常任) 右田圭司 宮下篤志 高山泰仁 山口裕介 |
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評議員 | 青淵正幸 粟屋仁美 池田耕一 石川淳 井上善海 大橋正義 大平浩二 大平義隆 奥村幸治 金綱基志 木原高治 木村敏夫 元治恵子 咲川 孝 柴田 徹 高岡美香 高垣行男 高橋徳行 田代泰久 中井 透 濱田眞樹人 樋口和彦 枡谷義男 水尾順一 谷内篤博 山口一美 山中伸彦 吉原敬典 渡部正治 |
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幹事 | 馬場晋一 山本知己 米岡英治 劉暁頴 | ||
監事 | 内田直仁 髙山昌茂 |
ビジネスクリエーター研究学会会則
第1条(名称) | 本会を「ビジネスクリエーター研究学会」と称し、英語名をBusiness Creator Society (BCS)とする。 |
第2条(事務局) | 本学会の会長が所属する大学に事務局を置く。 |
第3条(目的) | 本会は、創造的事業の構想と実践に関する諸問題を研究することに目的を置く。起業家精神やリーダーシップに関する研究、事業を構想する人材育成、事業創造を促進する金融資本市場や労働市場、その他関連する制度や法、社会・文化的要因、そして教育などビジネスクリエーターに関連する多くの分野を包含する学際的な研究学会である。「ビジネスクリエーター」の研究・教育・実践における相互啓発および相互の親睦をはかり、経済社会の発展に資することを目的とする。 |
第4条(活動) | 本会は第3条の目的達成のために、次の活動を行う。 1.研究大会・総会の開催 2.研究会、ワークショップ、講演会などの開催 3.その他、本学会の目的を達成するために必要な事業 |
第5条(会員) | 本会の会員は次の各項にあげる者をもって有資格者とする。 1.関連分野における教育・研究に従事している者。 2.社会人としての実務経験を2年以上有し、修士課程(博士課程前期課程)に在籍する者。 3.修士課程の修了者。 4.大学卒業後、社会人として4年以上の実務経験を有し、関連する研究に取り組んでいる者。 5.企業もしくは団体の経営者および管理職に従事する者。 6. この学会の趣旨に賛同し、その事業にも参加を希望する法人。 7.その他、本学会が認める者。 |
第6条(入会) | 本会に入会を希望する者は、所定の書類を添えて事務局に申し込み、常任理事会の承認を受けなければならない。会員にこの学会の名誉を傷つける行為や目的に反する行為があった場合には、その会員を除名することができる。会員が退会を希望するときには、退会届を会長に提出することにより、任意に退会できる 。 |
第7条(会費) | 本会の活動を維持する会費は、本学会の会員および本学会の活動に賛同する団体などより、理事会が集めるものとする。ただし、本学会会員の会費は、年額1,000円を超えないものとし、学会開催時に徴収する。 |
第8条(役員) | 本会には次の役員を置く。 1. 会長1名(会員より選出) 2. 理事長1名(会長の推薦により常任理事会で決める) 3.副会長2名(会長の指名による) 4. 副理事長2名(理事長が理事より2名を指名する) 5. 常任理事10名(評議員より選出の理事が務める) 6. 理事20名(評議員より10名、産業界より10名) 7. 評議員40名(学術研究者) 8. 幹事 若干名 9. 監事2名 |
第9条 (役員の選出) |
本会の役員選出は総会で行う。 |
第10条 (役員の任期) |
本会の役員任期は次の通りとする。 1.役員の任期は3年とする。ただし、重任は妨げない。 |
第11条 (役員の職務) |
各役員の職務は次の通りとする。 1.会長は、本学会を代表し、常任理事会及び評議員会の議長を務め、本会の業務を総理する。 2.理事長は、産業界の代表者であり、学会運営を統括するとともに、産学共同の学術研究に関する諮問と学会運営を経済的に支援する理事会を組織して、これを総理する。 3.副会長は、会長に事故あるときは、その職務を代行する。 4.副理事長は、理事長に事故があるときは、その職務を代行する。 5.常任理事は、評議員から選出された理事が務め、常任理事会の議決に基づき、この学会の業務を執行する。 6.理事は理事会を通じて産学共同の学術研究に関する諮問と経済的支援を行うとともに、理事会の議決に基づき、この学会の業務を執行する。 7.評議員は、会員より選出された学術研究の代表者であり、評議委員会を通じて、理事会の業務執行の監督と業務執行に参画する。 8.幹事は、役員の業務を補佐する。 9.監事は、この学会の会計および業務を監査する。 |
第12条(顧問) | 1.本会に顧問をおくことが出来る。 2.顧問の委嘱は理事会および評議員会の推薦にもとづき総会の承認を経て会長がこれを行う。 3.顧問は理事会および評議員会に出席して意見を述べることが出来る。 |
第13条(総会) | 1.本会は、研究大会の時に総会を招集・開催する。 ただし、会長において必要があると認める時、ならびに、会員の3分の1以上の要請があるとき、臨時総会を招集・開催することができる。 2.総会の議決は、参加者の過半数をもって行う。 3.総会運営の細則については別途定めることとする。 |
第14条(研究部会研究員) | 本学会は学会の趣旨に沿う研究部会を設けることができる。 1. 研究部会は、5名以上の会員が研究目的と研究対象、研究代表者を定め、常任理事会および評議員会の議を経て総会に報告される。 2. 研究部会の研究者は、本学会の研究員となり、研究成果について学会報告もしくは学会誌で報告が求められる。 |
第15条 (年度) | 本会の年度は、4月1日から翌年の3月31日までとする。ただし、設立年度は、設立時より翌年3月31日までとする。 |
第16条 (会則改訂) |
本会の会則の改訂は、会員が構成する総会の議を経て行う。 |
附則 | 本会の運営に必要な細則は、常任理事会の発議により評議員会において決定する。 平成20年11月1日施行 平成25年 3月9日改正 平成25年 4月1日施行 平成26年 3月1日改正 平成26年 3月1日施行 |